インターナショナルな臨床歯科医療の研究・教育の発展を目指すIDEA/国際歯科臨床教育研究会

■理事長 和泉 雄一


 わが国は、2007年に「超高齢社会」に突入し世界でも有数の長寿国となっています。一方で、生活習慣病およびこれに起因して認知症や寝たきり等の要介護状態等になる患者さんが増加しています。21世紀の日本をすべての国民が健やかで心豊かに生活できる社会にするためには、生活習慣病等の予防に重点をおき、「健康寿命」の延伸を図ることが必要です。壮年期・中年期には生活習慣病の罹患率が上昇し、高齢期の健康寿命を短くする大きな要因となっています。口腔内でも歯周病の罹患率が高くなり、重症化することによって高齢期での歯の喪失の大きな原因となっています。
歯周病は、心臓・循環器疾患、糖尿病、呼吸器疾患、アルツハイマー病といった生活習慣病の大きなリスクファクターとなっていることが明らかにされています。さらに、歯周病が早産・低体重児出産に深く関わっていることも報告されています。
これからの歯科医療は単なる局所的な治療の提供だけではなく、生活支援や生活の質(QOL)の向上という視点から、その方向性や社会性が求められています。さらには全身の健康の向上という観点から捉えることが重要です。
そこで本研究会では、健康寿命延伸のために歯周病を予防・治療し、口腔の健康管理の重要性に着目し、国民の皆さまに健康を身近に考え生活の改善法をお伝えしたいと考えています。
また、この超高齢社会と健康寿命延伸の課題は日本だけでなく、今後アジア各国の問題になると思われます。アジア各国ではまだまだむし歯の治療・予防に力を注いでいますが、むし歯予防に加えて歯周病予防も今後重要な課題となります。アジア各国ではむし歯や歯周病予防に重要な歯科衛生士を養成する制度がなく、将来、生活習慣病に強く関連するむし歯と歯周病の罹患率が高く悲惨な状況を迎えることが予測されます。アジアに向けて口腔衛生の大切さを伝え全身の健康を獲得するために、アジアの歯科教育をお手伝いし、歯科衛生士制度の構築に寄与したいと考えています。これらの課題に鋭意取り組むべく、本研究会を設立しました。




■発起人代表 小野 善弘

 数年前より中国や韓国など東南アジアでの歯科医師向けの講演を行ってきましたが、いくら歯科医が知識や技術の向上を図っても、実際の臨床でその学んだ知識や技術を活かすためには、そのサポーター役として重要な役割を果たす歯科衛生士がいないことには、その知識や技術は活かされません。また忙しい歯科医の代わりに、患者さんの希望を聞いたり、資料を取ったり、ブラッシング指導や歯石を取ったり、器具の消毒、滅菌など多くの仕事をしているのは歯科衛生士です。 彼女らの働きによって、歯科医は自分が学んだことを患者さんに還元できるようになります。そのためにも今、東南アジアで歯科衛生士制度のない国や歯科衛生士学校のない国の患者さんのためにも、また新しい仕事の創設のためにも、この研究会を通じて歯科衛生士教育のお手伝いが出来ればと思っております。皆さんの応援よろしくお願い申し上げます。





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